Hack109のブログ

ネットワーク、プログラミングなどで学んだことや試してみたことを投稿していきます。

TP-Link ER605でスタティックルーティングを体験してみた。

はじめに

前回は、1つのルータを使ってルーティングを体験しました。

hack109.hatenablog.com

 

1つのルータに接続されている隣のネットワークに接続する際は、ルータに対してVLANの設定を実施すれば、直接接続のルート情報は自動的にルーティングテーブル(経路情報)に登録されていました。

しかし、ルータを2つ使用し、接続されている隣のルータで管理しているネットワークに接続するためには、

目標のネットワークへの経路情報をルーティングテーブルに追加する必要があります。

ネットワーク構成の変更が発生するたびに、ルータのルーティングテーブルを手動で修正する方法をスタティックルーティングと呼びます。

そこで今回は、実際にルータを2つ使用し、スタティックルーティングを行うことで隣のルータのネットワークに接続できるかを確認してみたいと思います。

 

目標

  • ルータを2つ使用し、スタティックルーティングを行うことで隣のルータのネットワークに接続できるかを確認する。
  • スタティックルーティングの方法を学ぶ。

使用機器・ネットワーク構成

 

ゲートウェイとして使用する機器

tp-link ER605ゲートウェイとして使用します。今回は2つ使用します。

ゲートウェイとして使用する機器

各ネットワークで使用する機器

カテゴリ

機種名

IPアドレス

PC①

DESKTOP-FLK5IJ4(OS:Windows)

192.168.0.2/24

PC②

Raspberry pi

192.168.11.2/24

 

ネットワーク構成図

ルータ同士を接続し、各ルータにPCを接続します。PC①,PC②が双方にping通信できることを確認します。

ネットワーク構成図

スタティックルーティング 設定方法

著作権の問題があるため、スクショなしで説明いたします。ご了承ください。

 

隣のルータとのネットワークを構成するためには、各ルータが同じネットワークに属している必要があります。今回の例では、192.168.3.0のネットワークが該当します。

隣のルータとの接続

VLAN設定

各ルータのVLANの設定を確認していきます。PCに接続するポートについてはDHCPは有効無効のどちらでも問題ありません。ルータ同士を接続するネットワークについてはDHCPは不要のため、無効としておきます。PC②のルータ同士の接続に使用するポートがVlan3となっていますが、特に影響はありません。

 

PC①側のLAN設定

ID

Name

Vlan

IP Address

Subnet Mask

DHCP Server

DHCP Relay

1

ToRouter

2

192.168.3.21

255.255.255.0

Disabled

Disabled

2

LAN

1

192.168.0.1

255.255.255.0

Enabled

Disabled

 

PC①側のVLAN設定

ID

VLAN ID

Name

Ports

Description

1

1

vlan1

2(UNTAG)

LAN1

2

2

vlan2

4(UNTAG)

ToRouter

 

 

PC②側のLAN設定

ID

Name

Vlan

IP Address

Subnet Mask

DHCP Server

DHCP Relay

1

ToRouter

3

192.168.3.22

255.255.255.0

Disabled

Disabled

2

LAN

1

192.168.11.1

255.255.255.0

Enabled

Disabled

 

PC②側のVLAN設定

ID

VLAN ID

Name

Ports

Description

1

1

vlan1

2(UNTAG)

LAN1

2

3

vlan3

4(UNTAG)

ToRouter

スタティックルーティング 設定前 動作確認

スタティックルーティング設定前の動作を確認してみます。ルータに直接接続されているネットワークと違い、別のルータのネットワークに接続するには、VLANの設定だけではつながりません。

 

PC①→PC② ping通信

C:>ping 192.168.11.2

 

192.168.11.2 ping を送信しています 32 バイトのデータ:

要求がタイムアウトしました。

要求がタイムアウトしました。

要求がタイムアウトしました。

要求がタイムアウトしました。

 

192.168.11.2 ping 統計:

パケット数: 送信 = 4、受信 = 0、損失 = 4 (100% の損失)

 

PC②→PC① ping通信

$ ping 192.168.0.2
PING 192.168.0.2 (192.168.0.2) 56(84) bytes of data.
From 169.254.11.21 icmp_seq=1 Destination Net Unreachable
From 169.254.11.21 icmp_seq=2 Destination Net Unreachable
From 169.254.11.21 icmp_seq=3 Destination Net Unreachable
From 169.254.11.21 icmp_seq=4 Destination Net Unreachable

スタティックルーティング 設定手順

スタティックルーティングを行っていきます。

 

まず、下記の手順でスタティックルーティングを行う画面に移行します。

①メニューより、Transmission→Routingを選択

Static Routeタブを選択

 

次に設定を行います。

結論から話しますと、各ルータで下記のように設定します。

VPNルータ①

ID

Name

Destination IP

Subnet Mask

Next Hop

Interface

Metric

Status

1

Routing

192.168.11.0

255.255.255.0

192.168.3.22

ToRouter

0

Enabled

 

VPNルータ②

ID

Name

Destination IP

Subnet Mask

Next Hop

Interface

Metric

Status

1

Routing

192.168.0.0

255.255.255.0

192.168.3.21

ToRouter

0

Enabled

ネットワーク構成図

一つずつ意味を確認していきます。

このうち、特に重要になるのはDestination IPNext Hopになります。

Name

経路の名称

Destination IP

目標となるネットワークアドレス

Subnet Mask

サブネットマスク。ネットワーク部とホスト部を識別する。

Next Hop

目標のネットワークアドレスに接続するために経由しなければならないルータのIPアドレス

Interface

他のルータを経由するときに使用する自分のルータのLANポートの名称(VLANの設定参照)

Metric

ルータの優先度であり、値が小さいほど優先度が高くなる。(0推奨)

Status

Enabled:有効

Disable:無効

 

VPNルータ①を例に説明します。

Destination IPでは、目標となる機器が属しているネットワークのネットワークアドレスを設定します。

PC①から見ると、PC②(192.168.11.2)と通信したいため、PC②が属しているネットワークアドレスである「192.168.11.0」を設定します。 

 Next Hopでは、目標のネットワークアドレスに行くために経由しなければならないルータのIPアドレスを設定します。VPNルータ①からみてPC➁にデータを送信するには、まずはVPNルータ②を経由する必要があります。そのため、VPNルータ①をVPNルータ②と同じネットワークに接続し、「PC②にデータを送信するためにはまずVPNルータ②のアドレスにデータを送信する。」と 経路を記憶させる必要があります。VPN①からみてVPNルータ②のアドレスは192.168.3.22になるため、そのアドレスをNext Hopに設定します。

これらの設定を行うことでVPNルータ①は、PC②を目標とした場合の経路情報を覚えることができます。

VPNルータ①におけるDestination IP, Next Hop

ルーティングテーブルを確認してみます。

Routing Tableタブを選択

Refreshをクリック

 

スタティックルーティングで設定された経路情報が追加されていることが分かります。

どちらかのルータの設定が欠けていると相互に通信ができません。

 

VPNルータ①のルーティングテーブル

ID

Destination IP

Subnet Mask

Next Hop

Interface

Metric

1

192.168.11.0

255.255.255.0

192.168.3.22

ToRouter

0

2

127.0.0.0

255.255.255.0

0.0.0.0

lo

0

3

192.168.0.0

255.255.255.0

0.0.0.0

LAN

0

4

192.168.3.0

255.255.255.0

0.0.0.0

ToRouter

0

 

 

VPNルータ②のルーティングテーブル

ID

Destination IP

Subnet Mask

Next Hop

Interface

Metric

1

192.168.0.0

255.255.255.0

192.168.3.21

ToRouter

0

2

127.0.0.0

255.255.255.0

0.0.0.0

lo

0

3

192.168.3.0

255.255.255.0

0.0.0.0

ToRouter

0

4

192.168.0.0

255.255.255.0

0.0.0.0

LAN

0

 

スタティックルーティング 設定後 動作確認

ルーティングテーブルを設定し終えたところで、再度結果を確認してみます。

ping通信にて問題なく応答されていることを確認しました。

 

PC①→PC② ping通信

C:>ping 192.168.11.2

192.168.11.2 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
192.168.11.2 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=62
192.168.11.2 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=62
192.168.11.2 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=62
192.168.11.2 からの応答: バイト数 =32 時間 =2ms TTL=62

192.168.11.2 の ping 統計:
    パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
    最小 = 2ms、最大 = 2ms、平均 = 2ms

 

PC②→PC① ping通信

$ ping 192.168.0.2
PING 192.168.0.2 (192.168.0.2) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 192.168.0.2: icmp_seq=1 ttl=126 time=2.31 ms
64 bytes from 192.168.0.2: icmp_seq=2 ttl=126 time=2.30 ms
64 bytes from 192.168.0.2: icmp_seq=3 ttl=126 time=2.37 ms
64 bytes from 192.168.0.2: icmp_seq=4 ttl=126 time=2.42 ms
64 bytes from 192.168.0.2: icmp_seq=5 ttl=126 time=2.32 ms
64 bytes from 192.168.0.2: icmp_seq=6 ttl=126 time=2.38 ms

 

さいごに

まとめ

今回はスタティックルーティングの動作を確認しました。成功してみると設定自体はあまり難しくないですが、私は結構苦戦しました。というのも、設定はあっているのにLANケーブルをさす場所を間違えており、Ping通信がうまくいかず、解決に時間がかかりました。。。うまくいかない場合、ハード側で問題ないかを確認するくせを付けておく必要があると思います。

今後

Windows PC側でroute add経路情報を追加し、ルータに接続された機器と通信を行う...的なやつをやってみたいです。

素材

イラストAC

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